制度によって、結果的に「不正請求」となってしまう事例は少なくないのです。
そういう悩ましい背景があるのに、「介護で金儲けをしていいと思っているのか」などと、テレビで唾棄する識者が少なくありませんでした。
彼らは、「介護をする人たちは損をしろ」とでも言いたいのでしょうか。
経済原則を無視した発言が世の中に流れ続ければ、いずれ誰も介護ビジネスを手掛けなくなるでしょう。
事実、現場ではそうなりつつあります。
その結果として一番かわいそうな立場に置かれるのは、介護サービスを必要としているお年寄りとその家族だということすら、テレビの「識者」たちはわかっていないのです。
経済評論家のM氏が『金持ちいじめは国を滅ぼす』(K社)という小気味の良いタイトルの本を上梓しています。
「格差反対」と叫ぶのがファッションになっているご時世に、「金持ちをいじめるな!」と主張するのだからたいした方です。
この本の中で最も感銘したのは、「地獄への道は、平等・公平などという小さな正義の石で敷き詰められている。
小さな正論を振りかざすことほど、怖いことはないのである」というくだりでした。
まさにその通りだと思ったからです。
わたしなりの言葉で言えば、「美しい政策は汚い結果を生む」ということになります。
誰もが反対しない「美しい政策」というものは、得てして失敗するか、歪んだ結果をもたらすものだからです。
誰もが反対しない「美しい政策」であるにもかかわらず、長年実行されずにいたとすれば、その裏側には、「美しい政策」を実行してはいけない実体経済の本音が隠れているはずだからです。
その多くは、致し方のないものであったり、社会全体としての必要悪だったりするもの。
そういう裏側の本音を知らずして、机上の空論である「美しい政策」を断行すれば、必ず「汚い結果」が表面化してきます。
残念なことですが、スローガンが「美しい国」であったためか、安倍政権以降の経済政策の多くはこの「美しい政策」のパターンでした。
「多重債務者はかわいそう」という感情論だけで、グレーゾーン金利を撤廃して、貸金業者を破たんへの道に誘いました。
いまや貸金業者におカネを貸す銀行はほとんどありません。
貸金業者は、自分の資金繰りのために、お客さまから貸しはがしをして、資金確保するしかない状況に追いやられたのです。
その結果として、資金繰り難のために破たんする中小企業・零細企業・個人事業主が急増しています。
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